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東京地方裁判所 平成4年(特わ)1145号 判決 1992年11月10日

本店所在地

東京都港区六本木二丁目二番二-五〇号

伊東水産食品株式会社

(右代表者代表取締役 田保榮三)

本籍

東京都三鷹市大沢二丁目一〇番

住居

東京都三鷹市大沢二丁目一〇番八号

会社役員

田保榮三

昭和一七年六月三〇日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官加藤俊治、弁護人鈴木薫各各出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社伊東水産食品株式会社を罰金一八〇〇万円に、被告人田保榮三を懲役一〇月にそれぞれ処する。

被告人田保榮三に対し、この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社伊東水産食品株式会社(以下、被告会社という)は、東京都港区六本木二丁目二番二-五〇六号に本店を置き、食料品の加工、製造、販売等を目的とする資本金一〇〇〇万円(昭和六三年七月五日以前は資本金五〇〇万円)の株式会社であり、被告人田保榮三は、被告会社の代表取締役として、被告会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人田保榮三は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し、架空仕入を計上するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和六二年四月一日から同六三年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億一二二七万八一七二円(別紙1修正損益計算書のとおり)であったのにかかわらず、同六三年五月三一日、東京都港区西麻布三丁目三番四号所轄麻布税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六二三七万八五四〇円で、これに対する法人税額が二五〇七万六〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額四六〇三万四〇〇〇円と右申告税額との差額二〇九五万八〇〇〇円(別紙2脱税額計算書のとおり)を免れ

第二  昭和六三年四月一日から平成元年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億五一六五万一六四二円(別紙3修正損益計算書のとおり)であったのにかかわらず、平成元年五月三一日、前記麻布税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六二三二万〇六〇六円で、これに対する法人税額が二四二九万八〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額六一八一万七〇〇〇円と右申告税額との差額三七五一万九〇〇〇円(別紙4脱税額計算書のとおり)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人田保榮三の当公判廷における供述

一  被告人田保榮三の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の商品売上高調査書(検甲一)

一  大蔵事務官作成の商品仕入高調査書(検甲二)

一  大蔵事務官作成の支払保管料調査書(検甲四)

一  大蔵事務官作成の交際費調査書(検甲六)

一  大蔵事務官作成の販売手数料調査書(検甲七)

一  大蔵事務官作成の支払手数料調査書(検甲八)

一  大蔵事務官作成の受取手数料調査書(検甲九)

一  大蔵事務官作成の受取利息調査書(検甲一〇)

一  大蔵事務官作成の支払利息調査書(検甲一一)

一  大蔵事務官作成の交際費損金不算入額調査書(検甲一二)

一  大蔵事務官作成の事業税認定損調査書(検甲一四)

一  大蔵事務官作成の領置てん末書(検甲一六)

一  登記官作成の登記簿謄本(検乙四)

一  登記官作成の閉鎖登記簿謄本二通(検乙五)

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の運賃調査書(検甲五)

一  押収してある法人税確定申告書(六三・三期)一袋(平成四年押第九八七号の1)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の期末材料棚卸高調査書(検甲三)

一  大蔵事務官作成の損金の額に算入した都道府県民税利子割調査書(検甲一三)

一  押収してある法人税確定申告書(元・三期)一袋(前同押号の2)

(法令の適用)

被告人田保榮三の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項に、被告人田保榮三の判示各所為は、いずれも被告会社の業務に関してなされたものであるから被告会社につきいずれも同法一六四条一項、一五九条一項に該当するところ、被告人田保榮三につき各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、被告会社につきいずれも情状により同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人田保榮三につき同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をし、被告社会につき同法四八条二項により各罪所定の罰金を合算し、被告人田保榮三につき加重した刑期の、被告会社につき合算した金額の各範囲内で被告人田保榮三を懲役一〇月に、被告会社を罰金一八〇〇万円にそれぞれ処し、被告人田保榮三に対し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

よって、主文のとおり判決する。

(求刑・被告会社に対し罰金二〇〇〇万円、被告人田保榮三に対し各懲役一〇月)

(裁判官 伊藤正髙)

別紙1 修正損益計算書

<省略>

<省略>

別紙2

脱税額計算書

<省略>

別紙3 修正損益計算書

<省略>

<省略>

別紙4

脱税額計算書

<省略>

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